“朗読の目的は、まず聞き手に内容が正確に伝わることにあります。その上で、作品の味わいや感動まで伝えることが求められます。しかし、感動はもとより、内容を正確に伝えることだけでも、思ったほど簡単なことではありません。
良い朗読であるかどうかを決めるのは、「聴き手」が存在することを、読み手がどれだけ意識しているかによります。それは、聞き手のためにしっかり読む、ということです。しっかり読むというのは、一音一音をはっきり発音することではありません。声に出して伝えるのは、一つ一つのことばではなく、ましてや発音そのものでもありません。伝えるべきは「内容」なのです。”